「政府の緊急事態宣言は意味がなかった」の?

コロナ話ばかりしてたくはねーんだけどさ。

大阪府の対応はワタシも評価している。「合理的」だとか、「納得できる」ということだよね。ただ…、「大阪府独自の専門家委員会」での「政府の緊急事態宣言は意味がなかった」論は…。「信じちゃダメ」ということは言っとく。

胸に手をあててぇ。「政府の緊急事態宣言」直前に何が起こっていたのか、よ~く思い出してほしい。

たぶん「テレビ」の影響が多大なのだろうけれど、誰がなんと言おうとあの瞬間は事実上のセルフロックダウン状態だったはずである。政府に言われる最低でも二週間は前から、既に存分に「自粛ムード」に包まれ、経済活動はおよそ半分はとっくに「止まっていた」のである。

西浦さんの「8割論」は後日検証は必要だろうが、少なくとも「政府の緊急事態宣言」直前時点ではすでに「人との接触5割以上減」程度には、集団としてはとっくに実現できていた、というのが真相であって、であるから「4/11ピークアウト」に原因を求めるのならば「政府の緊急事態宣言が出るぞ出るぞ詐欺」の効果である。

この事実をなかったことにして、「政府の緊急事態宣言は意味がなかった」とだけ言うのは、少なくとも「卑怯」である、論法として。「自粛要請と休業補償」の話の本質についても忘れてはいけない。事実上のセルフロックダウン状態の「ズル賢さ」を忘れたのだろうか? こういうことだぞ?

  1. 「宣言」しちゃうと「補償とセットだ」と叱られるから「経済が大事」とうそぶいて、宣言を引き延ばしてカネは払わない
  2. 「宣言」したからといって、「補償」の仕組みはないからカネは払わない
  3. 「宣言解除」したのでカネは払わない

これが「ステップ」の実態であろう。そしてこのモタモタしてる時間で事実上のセルフロックダウン状態が実現し、これにより4/11ピークアウトが実現したのである。

「政府の緊急事態宣言は意味がなかった」論の最大の問題は、この「実状」を無視した短絡、すなわち「人の移動を抑えたことが無意味だった」になりうることである。この考え方は危険だ。

そもそも今回の新型コロナのようなタイプの感染症の場合は、「ウィルス自身が移動して感染を広げる」ことがないので、すなわちは「人間のほうが動かなければ」原理的に「絶対に感染拡大しない」。これでは経済は回らないので、「確率論」を駆使した数理モデルを使った戦略が、今回の政府の専門家会議による戦略である。科学的にどういうアプローチを採用するのか、それはまだまだ色々手段はあった可能性は高いけれど、ただ、「人との接触が増えれば感染拡大する」という基礎・原則だけは、これは「思想ではなく科学である」のであって、絶対にここだけは忘れてはいけない。

「闘い方がアレで良かったのか」という再検討のキッカケとして「政府の緊急事態宣言は意味がなかった」と言うのは構わない。けれども、「感染症がいかにして感染伝播するのか」の基礎をないがしろにするような世論にしてはいけない。どうかどうか、「ちゃんと正しく考えてちょんまげ」と、切に願う。