「買い占めすべからず」って安直だぞ、な話

ほんとこんな話ばっか続けてすまん。いつからそんなサイトになった、てか。

ワタシはオイルショックの頃に生まれたので、消費者の行動が原因での品不足の体験は 3.11 が人生初だった。3.11前も何度かあったはずだけれど、生活者として実際に身に降りかかったのは 3.11 ね、間違いなく。

そういうわけで、年始からのマスク・消毒薬・トイレットペーパー不足は「3.11以来」としてまぁまぁな久方ぶり体験だったわけなんだけれど、「またかよ」と。無論「ポビドンヨード」ね。吉村め…。

昨日・本日の吉村大阪府知事らによる会見は、あらゆる意味で「間違っている」んだけれど、「あらゆる」については、そのうち書きたくなったら書くかもしれない。今日どうしても言いたいのは、見出しにした「買い占めすべからず」の件。

そうしたわけで最近続いてた「店頭から物が消える件」について、まぁなんだかんだ考える機会が多かったので、ずっとずっと思ってたんである。注意喚起すべきは買い占めだけじゃねーからな。

資本主義に基づいて商売する以上は、企業努力は「需給バランスを取ること」であることはわかるよね。つまり、「毎日千人に一人が購入しようと考える商品」ならば、卸や小売店は「毎日の千人に一人が購入しても棚に並べられる」ように仕入れようとするし、メーカーはそれに間に合うように生産するわけだよ。

すなわち。「毎日千人に一人が購入しようと考える商品」という前提が崩れ、「毎日十人に一人が購入しようと考える商品」と化しただけでも、簡単に品不足に陥りうる、という想像が出来るかどうか、てこと。トイレットペーパーのように誰もが等しく必要とするものと違い、特に衛生製品なんかまさにそういうものが多くて、今回のうがい薬なんか完全にソレ。普段はこんなの真面目に日々うがい薬を使ってでもうがいを実践してるなんざ、かなりの「神経質なほどの潔癖症」とみなされるほどにマイノリティ、それこそ五百人に一人、くらいだったんではないのか。それが「十人に一人が気にする」となったたったそれだけで「店頭からうがい薬が消える」。誰しもがお一人様につき一つとお行儀良かろうが、それでもなお。

いや、むしろ「買い占めは厳に慎んでください」と言えば言うほど、「お一人様につき一つを厳守するお行儀良い消費者」にとって、「買い占めヤー」だの「転売ヤー」は格好のスケープゴートとなり、「お一人様につき一つを厳守という正義」がまかり通る。いや、そりゃ買い占めるよりはマシだよ、けど正義じゃないわな、買い急ぐことも悪なんだぞ。

メディアや為政者は、いい加減こういう当たり前の想像力を働かせ、「買い占め」と「買い急ぎ」をセットで注意喚起すべきである。