本日の、「読まなきゃいいのに」

どうやったら PV がゼロになるのかの実験、をしているわけではない。

東京防災はまだ届いていないが、大田区から届いた「わが家の防災チェックBOOK」「大田区防災地図 風水害編」「大田区防災地図 震災編」の3点セットを眺めていた。

どうやったら記憶に定着するだろうか、役立てることが出来るだろうか、と思案していた。いくら便利な冊子・便利な地図でも、「肝心なときに手許になかったために役に立たない」ことはすぐに想像出来るだろう。記憶するなりすぐさま習慣化してしまうことが肝要だ、と。たとえば「MIND CHANGE」ではヒトは

情報そのものを覚えられない場合は、どこに行けばその情報を見つけられるのかを記憶する傾向にある

だということを説明している。つまり「わかりやすく見つけやすい場所に貼り出して安心してしまう典型」、になりかねない、のね、命にかかわる防災についての情報であってもなお。貼り出したなら、読んで記憶する習慣もセットにしないと、記憶に定着はしないはずだ、と。きっと「ゴミ収集日はいつか」を記憶できない人には馴染みの感覚のはず。「あそこに貼ってある」ことに頼るから、当日朝になってから忘れていたことに気付く、なんてこと、経験してません?

この手の防災ハンドブックには必ず「普段から家族と話し合う」について書いてあると思う。これ、実はとても理に適っていて、家族と住んでいる方は絶対に実践して欲しいことなのだけれど、一人暮らしの人はどうすればいいのか?

これについても「MIND CHANGE」や「オートメーション・バカ」「ネット・バカ」などで知ることが出来る最新の脳科学の知識で考えてみれば、「認知心理学の生成効果」に頼れば記憶しやすいことが理解出来る。避難経路については、実際に地図に書き込む。漠然とみていても記憶できないが、書き込む作業を実際にやってみると、近所の地形的特徴も頭に入ってくる。うげぇ、ここ、浸水すんのか、と、具体的なイメージが沸いてくる。頭に入れたら今度は実際に外に出て、地図を思い出しながら歩く。もう忘れない。

こうやってすぐに記憶できるものは良いが、そうでないものはどうすれば良いのか? 訓練などそうそう出来るわけではないし、と。ただこれも、「いったん自分で紙に書き出してみる」ことで記憶の定着が早くなることはやはり言えるし、また、どうやらイメージトレーニングははっきりと効果があるようだ。同じく「MIND CHANGE」より:

「考える」という行為をするだけでも、物質としての脳に実質的な変化を起こすことができるようだ

つまりイメージトレーニングは「訓練」として実際的な効果がある、ということを言っている。訓練とはつまり「(脳の)道を太くする」こと。


「地図を思い出しながら歩」きながら、数日前の NHK スペシャル「MEGA DISASTER 巨大災害 第2週」を思い出していた。

そこでは「オーダーメイド避難」について触れていて、どういうことかといえば、指定避難場所以外の避難場所を住民一人一人について検討できれば、津波に追いつかれてしまう人々のほとんどをなくせる、というもので、当該地域の場合「三階建て以上の鉄筋建造物の活用」だった。津波タワーがいくつも作られたその地域でも、津波到達予想5分という想定では、600mを逃げ切れない高齢者が多数いたが、津波タワーまで辿り着かなくても助かることが出来る、というシミュレーションであった。

これを思い出しながら頭にあったのは、「color bath (カラーバス)」というアイディア収集のための手法。なにかというと、とにかくなにか一つ「本日の色」を決める。そして赤なら赤に、ひたすら注意を向ける。これだけ。color bath は「色を浴びる」という意味。たとえば以下などで紹介されてる:

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

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これ、広告代理店のような、アイディア勝負の業界では有名らしい。やったことがない人はすぐにでも試してみて欲しいのだけれど、人間の脳の不思議さを理解するのにこれ、なかなかに手っ取り早く、面白い。最初に驚くのは、自分がこれまでどれほど色んなインプットを捨て去っていたのか、ということ。世界は案外驚きに満ち溢れていることに気付ける。次に驚くのは、人の脳がオートメーションで行ってしまう「ことがらをすぐに結び付けたがる」癖について。人間はすぐに何かと何かを関連付けようとする。思わぬアイディアはそんなところから生まれる、というのが、「color bath」がアイディア収集の手法に使われる動機。そもそもがこれ、楽しいのだ。

要は、「さぁ、今日は三階建て鉄筋の建物を探すぞ」とテーマを決めて「歩く」「車窓を眺める」ことは、避難行動の役に立つかもしれないだけでなく「楽しい」ということ。実際やってみればわかるのだけど、色んな妄想が沸いてきて止まらなくなる。

「color bath」メソッドは、「色に注目するのが最もやりやすい」からこその名前なのけれども、実際は色にこだわる必要はない。それと、色に着目する手法は、色に溢れた都会の方がやりやすいことは実感している。東海道線で南行してると、車窓から見えるのは緑ばかりで、となりがちなのね。だから場所ごとにテーマは工夫したらいい。それとこれ、動かずに家でテレビやパソコンで、としてもあまり良い結果にならない。歩きながらとか電車の車窓をとか、移動を伴っている場合に向いてる。

寺山修司が生きていたらきっと「スマホを捨てよ、外を見よう」なんてことを言ってたに違いない。たまにはスマホを見るのをやめて、「五感と脳」だけで遊んでみたらいいと思うのよね。