読んではならn

ちょっと趣が違うかもしれない駄話。

一つ前の投稿で佐々木士郎話をした流れで、久々にウィークエンドシャッフルをちょろっと聞いてた。の中でこれ。この背景画像さぁ…、宇多丸は言ってないし、リスナー投稿にもないもんが挙がっててな。どうやらアップロード主が自分が知ってるものを勝手にくっつけたらしい。そもそもな、「博士の異常な愛情 – または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」って、滅茶苦茶「限りなく」直訳なんだけど。Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb。少なくともアップロード主は映画ファンではないね。

からの流れで、キューブリックの話をちょっとだけしようかなと。ただし「評論」はしない。ワタシが好きな順だけ:

  1. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
  2. 時計じかけのオレンジ
  3. バリー・リンドン
  4. ロリータ
  5. フルメタル・ジャケット
  6. 2001年宇宙の旅
  7. シャイニング
  8. 非情の罠
  9. アイズ ワイド シャット

キューブリックのボックスセット(とそこに入ってない二つ)だけしか観てなくて、なのでスパルタカスは観てないし、初期作品のいくつか観てない。結構気分によっても順位は変わる。基本どれも必ず「どこかは(強烈に)好き」で、隅々まで嫌い、あるいは好きなところがない、という作品は一個もない。

特に2001年宇宙の旅の順位が結構変動するかな。3位にしたい気分の日もある。どうしたって外せないよこれは。もちろん現代の目でみればさすがに「チャチ」に感じることがないと言えばそれはウソになるよ。1968年公開、ということをどうしたって踏まえて観る心構えは必要。けどこの映画の凄さはそういうとこじゃないんだ。

揺るがないのは上2つ。不動も不動だし、世間的な評価としてもこの二つは高いんじゃないかな。博士の異常な愛情を強烈に好きな人はとても多いと思うし、時計じかけを未だにバイブルのように言う人もとても多い。デヴィッド・ボウイじゃなかったかな、時計じかけのオレンジに影響された、とはっきりなんかで言ってたのは。違ったかな。

バリー・リンドンは批判も多いと思うし、嫌いな人は凄く多いと思うが、ワタシは大好き。映像美ということに関してはキューブリックの作品の中では一位じゃないかと思うし、これはね、現代の作品ですらこれに勝てるのはそうそう現れないよ、一度は観てみろ。(とは言え、内容に引っかかる人がほとんどだと思う。嫌いになる人は普通内容が嫌いなのよ。)

フルメタル・ジャケットも嫌う人は多いだろう。けど好きなんだよなぁ、ワタシは。これもどうしたって映像美だよ。

ロリータの評価は難しいだろうねぇ。時代性もあって、現代フィルター込みで見るとあまり冷静に見れないとこもないではなくて。

シャイニングは、例によって…、つまり2001年でアーサー・C・クラークともそうなったように、原作のスティーブン・キングが大激怒した、という作品だけれど、そういうノイズは忘れようよ、名作だってば。(キング自身のテレビ版リメイク、観たよ。なかなかにヒドいシロモノだった。映像作品はこの人はやらん方がいい。)

アイズ ワイド シャットは遺作となった作品で、順位が最下位にしてることからもわかるように、ワタシにはあまり合わない作品だった。けど「腐ってもキューブリック」。好きなところもやっぱりある。

まぁこれが「ワタシの好み順」だけど、人に勧めようと思う場合の順位は全然違うかな。やっぱりどうしたって2001年を最初に持ってくると思う。2つ目が微妙か。時計じかけのオレンジか博士の異常な愛情なんだけど、どちらもとっつき難い気はする。というかまぁ…「気楽に観れるキューブリック」なんてないから、どれ勧めるのも似たようなもんだけど、前者はその暴力性から、後者はその不謹慎さから勧めるのに気後れするところがどうしたってあるんだけれど、どちらも表層しか読み取れないような IQ の低い人だとわかれば絶対に勧めないんで、目の前にいるリアルな友人や同僚相手なら困らない。こういうブログで紹介しようとするから困るタイプ。

と書いてたら、久しぶりにキューブリックを観たくなってきた。バリー・リンドンをしばらく観てない気がするからしばらくぶりに観ようかしら。


デヴィッド・ボウイについて上で書いたのでその流れで。デヴィッド・ボウイが去年亡くなったニュースを聞いた際はさすがにショックを受けた。もちろんそういう歳ではあったけれども。一時期随分聴いてたよ。古いのも、ワタシが大学時代のリアルタイムだったものも。

マイケル・ジャクソンが死んだときもそうだったけど、死んでから「昔から評価してた」といい始める人が多いのには辟易する。マイケルをあんなに批判してたその口はどこへ言った。Look who’s talking. ずっとマイケルファンだったワタシは、生きてた頃にマイケルのネガキャンがあるたびに心を痛めていたのだ。

なんてことが起こるのは無論「死んだ」というイベントを「再評価」というお祭りに仕立て上げて売り上げを伸ばしたい雑誌などメディアの陰謀だ。てことかもな。そういうのに気付かずに乗っかっちゃう安易な人たちが多いつーことでしょ。

という話はともかくとして。「映画」とデヴィッド・ボウイと言えば。ワタシにとってはラビリンス/魔王の迷宮(1986年)である。なんといっても。ラビリンス/魔王の迷宮が面白かったかどうかは正直あんまり憶えていないんだけれど、デヴィッド・ボウイの印象だけは強烈に憶えていて、歌唱の雰囲気もなんとなく憶えてる。少なくともワタシは当時(中学生)世界観にとても合ってると感じていて、好きだった、と思う。(ほんと憶えてないんだよね。強烈だった、という印象しか。)

ラビリンス/魔王の迷宮の頃って、この手のファンタジーが流行ってた印象がある。ネバーエンディング・ストーリーもこの時期(1984年)。グレムリンは1984年か。「この手」が「どの手?」と聞かれると説明しずらいんだけど、世界観が似たものが量産されてた記憶がある。当時こういうの、好きだったし、今でも見直したいと思うほど好きだけれど、今の流行りのファンタジーとは趣が違うんだよね。何がどう、と言われると説明は出来ないんだけれど。あぁ、たぶんドロシー的(オズの魔法使い)な感触がどの作品にも強かった時代、というのが近いかな。ストーリーじゃないよ、「肌触り」の話。

最近のファンタジー映画の傾向を決定付けてしまったのは多分ハリー・ポッターとカリブの海賊…もとい、パイレーツ・オブ・カリビアン、なのでしょ? どっちも流行るのはわかるけどさぁ、て感じ、ワタシには。どっちもなんかワタシがファンタジー映画に求める要素に欠けててね、好きになれない。こういう明朗会計過ぎるのは。頭からっぽにして観れる作品全部が嫌いだなんて言ってない。けどこれは「無理して頭からっぽにしなければならない」のがね、逆に疲れる。なんかね、「落ちたい」のよ、感情的に一度は。そういう振幅がね、あったのよ、ワタシが好きだったファンタジー映画には。比較的最近のだとロスト・チルドレンなんかがそうね。(ファンタジー映画に分類していいのかは微妙だが、ピクサーの映画は好きよ。インサイド・ヘッドは良かった。大好き。)


ついでなので、「最近中古屋で見かけて買ってしまった映画ソフト」で良かったもの。

やっぱダントツで「マッド・マックス 怒りのデスロード」。これこそ宇多丸が絶賛してたことが記憶にあったんで、ブックオフで見かけて、つい買ってしまった。買ったのは半年以上前か。もともとマッド・マックスそのものに対してちょっと偏見あって、確か過去作はテレビ放映で観てるはずなんだけど、そのときはあんまりいいとは思えなかったんだよね。「北斗の拳でしょ」てのもあったし。けど、買ったヤツは過去作もセットになってるヤツで、改めて見直してみると…、過去作も面白い。いったん楽しみ方がわかると面白い、というヤツで、だからデスロードから入って正解だったかも。

日本映画では海街ダイアリー。これも宇多丸が褒めてたけど、こっちは宇多丸の評価を知る前に買ったのは、番宣で十分に観たいと思ってたからね。是枝さんの映画がワタシにはなんかちょっと合わないなぁ、とこれまでは思ってたけれど、これはジャストフィット。とても良かった。

ブックオフは結構行くけどさ、これこそ「出会い」なわけじゃん。レンタルショップと違って、たまたまあるものしかそこにはないわけだから。なんでもかんでもは置いてない。けどここでの出会いと一つ前で言ってる出会いはちょっとだけ趣が違って、一つには「ちょっと安く買えるからちょっと大胆になれる」(冒険出来る)というのと、もう一つはどうしたって「前評判フィルタ」がリアルタイムで出会うのよりはかかりやすいのね。けど本を買うのと一緒で、結局は店頭で目移りするのは楽しいよね、てことで。