偏執狂。もやい結びの「普通」なほう

ブーリン(もやい結び)の「普通」なほう。まだ続けんのかよ、東京防災からのロープワークのはなし。

bowline knot、またの名を king of knot、あるいはもやい結び」では、結わう相手が正面にいる場合の結び方だけを書いた。そっちの説明の方が世間的に「マイナー」だから。そうなんだけど生来の「偏執狂」とでもいうか。逆向きのも書きたい、という衝動が抑えられず。

「逆向き」というのは、縛り付ける相手が正面にいるか、自分側か、のこと。最初のほうで示したのはたとえば「目の前に木があって、その木に結び付ける」ような場合。今回のは「自分を巻く」向き。

自分を巻かないにしてもたとえば「体育館のギャラリーに紐をぶらさげたくて、手摺の枠に結び付ける」みたいなケースを想像してみて。この場合、最初に紹介した方でも出来るけど、「自分を巻き付ける」のと同じやり方でも出来るのはわかるね? 後者の場合は、ロープの長い端はすでに下に垂れ下がってる、と想像してみればいい。

こんなかんじ:

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細いロープなので指先仕事になってますが、登山する人がザイルワークを習うときには、「右手に持ったザイル端と一緒に左手に持ったザイルを右腕に絡め取り、右腕を引き抜く」と教わります。一連の素早い流れで「一瞬で」出来る。「巻~く、抜~く」の2秒。10分も練習してれば、目をつぶってでも出来るようになります。

絵にしたのは、「ザイルワークで身についている動作を指先に縮小」したような動き、なのね。こういった細いロープだと、腕に絡めるということがもう、馬鹿らしいことなので。

もやい結びは構造的には「左手側の輪に右手側のロープ端を通し…」ということなんですけど、「左手側に輪を作り」という手順から始まると、「その輪を維持しておくことが難しい場合が多い」のね。なので「ロープ端側(右手)を持ったまま左手側ロープに「輪を作りながらくぐらせる」」として一緒にやってしまう、てことです。「わかりやすさ」のために「先に左に輪を作る」説明は多いんだけど、ワタシは一度もそれをしたことはないし、誰かにブーリンを教えてもらう際に「先に左に輪を作る」ことから教わることは、まずないと思う。










ところで、「馬鹿の一つ憶えとしてたった一つだけ憶えるとしたら何がいいか?」 なんだけれど、ワタシはやっぱりブーリンだと思う。「強くて解きやすくて、用途が多い」から。だからこそ既に書いたのに、改めてこうやって書きたくなったのね。

最初の投稿の見出しにも書いた通りで、もやい結びは「king of knot」結びの王様。手順を「読む」と、「うわっ、何これ複雑」と思ってもおかしくないんだけど、実際に手を動かして慣れてしまうと、「これほどシンプルで結びやすいものはない」ことがわかるはず。「ロープの気持ち」に忠実な結びなので、ロープに嫌われないのね。やってみればわかるよ。混乱することがないんです。