スローテレビ、やっぱりください、防災も兼ねて

台風18号が精神(マインド)に与えた影響について。

違うけど。

9月11日って。あぁ、もう14年も経つのか…。金沢に向かう車中でニュース映像を見てたのを鮮明に憶えている。そのときに身をもって感じたのはその「凄惨さ」などではなく、「高画質の映像から受け取る現実感のなさ」だった。映像が高精細になればリアルが増すというのは幻想だ、人はスクリーンの映像からは感情を受け取れないのだ、と実感させられた事件だった。

という「たかが映像」のネガティブな側面に触れつつも、今日はポジティブな話。

「NRK のスローテレビの話」で、地上デジタル放送のサブチャンネルを活用すればいいのに、と書いたあと、「東京防災」の話と「河川ライブカメラ」の話が頭の中でリンクした。

河川ライブカメラ」のようなライブカメラ的なもの、ほかにないかなと探してはみたのね。けどやっぱり画質と回線の問題や、アングルの問題なんかで、tvk の「秦野ライブカメラ」ほどにストレスなく観れるものは、ないのよね。東京タワーのこれ;

これは画質もアングルもいいんだけれど、あたしのイーモバイルでは厳しい。

昨日tvk の「朝の周波数カード」の話を書いたあと、実際に録画してみたのね。面白いんだなぁ、録画すると。早送りすると雲の動きが面白い。BGM が邪魔だが、映像だけなら、スローテレビに求めた「癒し効果」は期待出来そうだ。で、「防災も兼ねられるのでは」と思ったのね。前みたいに河川のだったら良かったのに、と。でもあの映像には「癒し効果」は望めなかったかもな…。

本当に欲しいのは UStream などでもやってる「定点カメラ映像のただの垂れ流し」、なのは確かなのだが、「定点カメラ映像」が難しいのは、「プライバシー保護」というナイーブな問題もあるからだろう。だからこれを問題がない形で配信出来るのは、やはり「恵まれた事業者」に限られるのだ、本当のところ。いくらインターネットが「誰でも参加出来る」からといっても。「プライバシー保護」に問題が起こらない形で発信したいなら、「高層」からの映像が良いということになるだろうが、一定以上の画質でないと視聴者は確実にストレスを感じるので、やはり機材に恵まれた事業者にやって欲しい。となれば結局、テレビ局が「テレビで」自社ビルからの映像をライブ配信するのがベストではないか。サブチャンネルを使って。

というわけで、tvk の「朝の周波数カード」が朝の30分番組なのがもったいない、tvk も tvk1~tvk3 まであるのだから、是非24時間流しっ放しにして欲しい、と思うのだ。BGM なしで。需要あると思うんだけどなぁ。CM は画面の端にでも出しとけばいいんじゃないかな。

「なぜテレビではなくインターネットなのか」の一つにはやはり、テレビ局の番組編成によらずに何か情報を得たいということも大きいはず。UStream などのストリーミングはその需要に応えるものだろう。単に「ニッチな」要求に応えるためだけに提供されるものでもないし、消費者にとっても同じことのはず。すなわち「テレビでも良いはずのマスな情報を自分の好きなタイミングで見」たい、のために「テレビではなくインターネットで」は、少なからずあると思う、のね。そうでしょう?

裏を返せば、「本当はテレビで観たいもの」をインターネットで我慢しているもの、というものは、「ニッチでないものでさえ」かなりある、ということ。「河川などの定点カメラ24時間放送」こそまさにそれ、だと思うのだ。「NRK のスローテレビの話」を書いたときは「癒し」のことだけ考えていたけれど、日常生活の一部に出来るようなコンテンツ、つまり「防災目的 兼 普段は癒し効果」って、出来るんじゃないのかな、ってハナシ。

ちょっと想像してみて欲しいのだ。全国の全テレビ局がこれをやってる世界。今なら朝の情報番組が一瞬だけ提供しているような「お天気カメラ」が常に視聴出来るとしたら。無論それは地方地方、局ごとに異なる「コンテンツ」だ。朝でかける前にお天気カメラを視聴してから出掛ける。そんな日常。旅先でその土地のお天気カメラを見て非日常を感じる。そんな日常。

防災、と言ってしまったけれど、おそらくこれに期待できるのは「減災」。日々同じ映像に見慣れ、日々刻々変わる小さな変化に慣れると、「気付き」が起こりやすいはず、なのだ。「NRK のスローテレビの話」は TED でのプレゼンテーション。その中でプレゼンターも、このことに触れていた。「(映像を切り替えずに流し続けると)視聴者は映り込んでいる牛や旗に気付く。そして物語を想像し出す」と。何も語らない映像から、人はそれだけのものを読み解く力を持っている。定点カメラの映像から「普段とは違う異様さ」に、視聴者自身が気付いてもなんの不思議もない。誰かが気付けば、そこからは拡散力の高い他のメディア、たとえばツイッターの出番だろう。

「テレビ離れ」と言われて久しいけれど、これ、テレビに人が戻ってくるだけのインパクトが、あってもおかしくないと思う。そう思いません?