日本人は「雛鳥に後に続かれる親鳥」とは言わない

何度出てきても頭がこんがらがる英語の言い回しがあって。

たとえば「to perform a relative import followed by an absolute import」なんだけど、何度この形の英文が出てきても「どっちが先でどっちが後?」とこんがらがる。というかスッキリした日本語にするのに慣れない、と言ったほうが正確かな。当然「雛鳥に後に続かれる」のだから「親鳥に続いて雛が続く」わけである。なので辞書でも「followed by」は「続いて[次に]~がある、〔主語の〕後に~が続いて、~を受けて、その後に~が続く」と訳語があてられている。

そうなんだけど訳出で困るポイントは「どっちが順序として先か」ということよりも、「どっちが主役か」ということでもある。「to perform a relative import followed by an absolute import」の場合は無論「relative import」が主食だから、「絶対インポートに後に続かれて相対インポートを実行する」(雛鳥に後に続かれる親鳥)としたいところだが、こんな日本語、わかりにくくてしょーがない。先に実行したいわけだから「相対インポートを実行した後で絶対インポートを実行する」(親鳥に続いて雛鳥)とすると今度は「絶対インポート」が主食にみえてしまって困る。そうではなくてここではあくまでも相対インポートが主役だ。だからといって「絶対インポートの前に相対インポートを実行する」とすると今度は「前に」が持つニュアンスの広さが悩ましいことになる。とすれば正解は「絶対インポートに先立って相対インポートを実行する」(雛鳥に先立って親鳥が歩く)だ。

と言いたいところだが、これだと「両方実行するのだ結局」がボヤけてしまうのが困る。今の場合そう、実は実行したいのは「両方」だ。というかもっといえば正確には「絶対インポートを試みる前に相対インポートを試し、ダメなら絶対インポート」。クドいよね。この「先立って」でそこまで伝わるといいのだが。(もしくはクドくてもいいと割り切るか。)

なんてことが一瞬で駆け巡るから毎度頭痛がすることになるわけだ。訳し方も毎回ケースバイケースだからさ、結局毎度悩むんだよね。