東京防災がやっと届いたのとニュース深読みの件

待ちくたびれたよ。

毎日ポスト開けるわけでもないんで、昨日今日で着いたとかではないんだけど、S.W 始まる前には確かに来てなかった。やっと届いたよ、東京防災


電子版だけみてても今ひとつわかってなかったが、厚さにして 1.2cm にもなる、これは「本」。電話帳を小さくしたような印象の外観。この「防災ブック」と、それに付けるソフトカバー、防災マップ、「ACTION 東京防災ステッカー」の3点セットが箱に入ってる。ソフトカバーが付いてるのはありがたいかも。防災MAP も、地図そのものよりはその裏面(こっちが表かも)に書かれている避難時行動フローチャートとか持ち出しチェックリストとか、情報サイトの情報とか色々使える。

やっぱ本じゃなきゃダメ、これは。電子版は使いにくいよ、なんだかんだ。というか読みにくい、よね。頻繁に読めばイメージトレーニングになるだろうし、常時持ち歩いてれば、「そのとき」にも使える、てことを考えたデザインなんだろう、これは。箱ごと持ち歩くといいんじゃないかな、と、東京防災の担当の方がテレビで言っておられた。ワタシは大田区から別途来てた防災MAPと冊子の袋に一緒に入れることにした。




で、本日朝の NHK、「ニュース深読み」の話。今月とにかく災害やらなんやら、凄く多かったじゃない。先日の関東・東北豪雨のこともだし。なので東京防災の紹介も前半してた。

東京防災は、スイス政府を見習ったんだねぇ。全世帯への無料配布、なので、印刷・配送費だけでも約20億4000万円、だそうだ。良い税金の使い方、だよね。普段は川崎市民なんじゃないか、のような生活してるんで、何かの用事で「住所を書く」ことをしない限りは都民だという自覚がないけど、なんかやっと「都民だったんだ、ワタシ」て実感持てたわ。なお、他地域からの反響もいま絶大なようで、東京都以外の人向けには有料で配布することを検討し始めてるとのこと。まぁ都民税で作ってるんだから、当然といえば当然なのかな。でもこういうの、いずれは国がやるべきだろうね。

特集は「あいつぐ自然災害 あなたは逃げられますか?」だった。主として「正常性バイアス」の話であった。やっぱりね、とでもいうか。

御嶽山で有名になったはずなのになんで、と思う人は、おそらく本当の正常性バイアスの怖ろしさを実感として理解出来ていないんだと思う。そして正常性バイアスと同調行動の組み合わせが「最凶」であることも。

あなたを含めて10人の集団だとする。9人が正常性バイアスに陥っているとする。9人が大丈夫だと言っている、9人が平静を装っている。これに抗うのがどれだけ難しいことなのか。このことは何度も実験されて確認されている。なので、救急救命に関わる職業の人々はこのことを徹底して教えられるそうである。また、登山での事故の多くも「過去の少ない経験に基く根拠のない自信」で起こっていて、災害時の避難行動の遅れにみられる心理状態と似たことで起こる。正常性バイアスによるものと思われる事故ももちろん多い。

「子供は正常性バイアスにかかりにくい⇒子供を訓練しておくといざと言うときに迷わず行動する⇒子供が逃げるのをみて、大人がそれを真似る」という話が面白かった。人間が陥りやすい同調を逆手に取れる、というわけだな。

正常性バイアスの話はまともな心理学の本には大抵載ってると思うし、私がよく紹介してる「思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方」でも扱ってる。ほかにも「集団思考」「同調」「社会的手抜き」「学習性無力感」など非常時に陥ると命を危険にさらすのにも関わらず大変陥りやすい罠、についても扱っている。結局「人間の脳がどれだけ間違いを犯しやすいのかをしっかりと知り、抗うための予習をする」ことしかないんだと思う。

正常性バイアスに陥らないようにするのには、実は防災訓練、がもっとも手っ取り早い方法と思うが、これはなぜかというと、正常性バイアスというのは要するに「普段と同じ状態でいたい」という欲求(本能)から来てるから、なのだ。

普段毎日避難をする、のではないのだから、避難行動はいつだって「非日常」だ。人は望まない非日常は来て欲しくないから、「安全だ」と思い込むことによって平静を保とうとする。もっと簡単な言葉で言えば「普段やらないことは難しいので億劫」になるのだ。

「難しいので億劫」はただの心理的な障壁だが、たったこれだけのことを超えられないために「安全だと思い込む」という、ニュース深読みの言葉を借りると「幻の土嚢」、これによって命を危険にさらす。これが今回の常総で「逃げ遅れた人々」に起こったわけである。つまり防災訓練はこの心の障壁を取り除くために必要だ、というわけである。決して避難経路を記憶するだけとか消火器の使い方を学ぶだけ、ではないわけである。

そうはいっても防災訓練は普通、多くても年に一回くらいしか参加できないのが普通であろうから、やはりイメージトレーニングをするのが良いと思う。もっと良いのは、実際に普段から避難経路を歩き慣れておく。無論こういったことは東京防災ブックにも、大田区の「わが家の防災チェックBOOK」にも書いてあるわけだが、心理学的説明をしているわけではないから、なかなか実感を持って受け取られないことが多い、ということであろう。

災害時の一番の敵はそう、「人間の脳」「集団の思考」でもあるわけ。これに克つには、皆がこの知識を持つこと、しかないと思う。一人では闘えない。多分あなた(わたし)は同調に負ける。

そして「ニュース深読み」ではこれを紹介していた:

[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=tLrcTYZhk_0[/youtube]

ちょっと馬鹿馬鹿しいようにも思えるけれど、この正常性バイアスなど心理的問題を踏まえた歌詞が入ってる。2:35あたりから:

あなたが一番はじめに、まず逃げて
危険を感じる地域のヒーローだ
家族も、みんなはみんなで逃げている
信じる勇気のボウサイダー!
津波が来るまで20分(もっと早いかもー)
自分で生き抜く、高いとこクライミング
大騒ぎすりゃ、みんな逃げルン♪
ルンルン声掛けビーム ボウサイダー

そういうこと。