ダニング・クルーガー効果

「データベースを少し知っている人は超簡単だと思う」、「データベースをとても知っている人は「難しいことを知っている」」」について、ちょっと思い出したことがあったので。

俗に「馬鹿ほど自分を天才と思う」と言われたりしますが、このことは心理学的にもほぼ真実とみなされていて、このような効果を「ダニング・クルーガー効果」と言います。ワタシの大好きな思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方からちょっと引用します:

細かく言うとこうなる-
技能が高い人ほど、そのための訓練を積んでおり、経験も豊富だから、自分の力を他者と適切に比較することができる。腕を磨こうと努力するから、自分のどこが足りないかよくわかり、複雑さや細かいちがいがわかるようになる。その道の達人の存在を知り、その人たちと自分を比べてどこが足りないかわかるようにもなる。いっぽう技能の低い人は、それほど訓練もしておらず、経験も乏しいから、ある課題について人よりできるかできないか適切に判断できない。同輩たちにもだめを出されることはない。同輩たちもよくわかっていないか、あるいはその人の気持ちを傷つけたくないと思うからである。そのため、初心者よりちょっとできるというだけで、自分はすごいと自惚れてしまう。

古代ギリシャ哲学者が言った「無知の知」と同じことを現代心理学者が確証しつつあるわけですな。

これね、「あーいたいた、そんな馬鹿」ということを思い起こさせたいためにこんなこと書いてるんではないの。「極端なヤツ」は確かにいるんだけどね、これって「誰でも持ってる脳の癖」と考えた方がいい。

同僚たちにさ、こんなことを言ったことがあるの、アタシ:

あと一歩で終わるはず、という直感ほどあてにならないものはない

これは完全にワタシ自身の経験則なんだけれど、これがね、ダニング・クルーガー効果に非常に近い。「あとこれさえクリアすれば完了だ」は、「これさえ」の中身を「パーフェクトに」把握出来ている場合にのみ成立します。ところが、「あと一歩だ」と思うということは、まず十中八九「パーフェクトには把握出来てない」。つまり、残り一歩の蓋を開けてさらにビックリ箱、というマトリョーシカ状態になることがとても多い。「あと一営業日で完了します」報告が延々遅延していくのには、こんな脳のトラップが潜んでいるのだ、とまぁ、そんな話でした。

思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方については、そのうちまとまった記事を書きたいな。